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外国人労働者の受け入れ拡大に向けた「改正出入国管理法」が成立しました

2018/12/09

今朝の新聞一面は「改正入管法来年4月施行」でした。8日未明に参議院本会議で、外国人労働者の受入拡大に向けた入管難民法・法務省設置法改正案(改正入管法)が可決、成立したのです。人手不足に悩む業界では歓迎の声もありますが、国会でも議論されたように外国人技能実習制度などでの現実問題を踏まえ慎重な姿勢を示す人も多くいます。

実際には私自身が関係する農業や福祉業界などでは有効求人倍率がそれぞれ3倍を超えるなど、雇用労働者の採用難は続いており、外国人の採用を考えたり、採用の準備をする経営者は少なくありません。

今回の改正で、来年4月には入国管理局が入国管理庁へと格上げとなり、改正入管法の施行により新たな在留資格制度が創設され、農業や介護福祉、建設業などの14業種で外国人労働者が従事することが可能となります。

今回の改正内容と国会での論点や心配されている点などについて、簡単に整理しましたので、よかったらご一読ください。

1.改正入管法の制度概要 ・・・ 在留資格として「特定技能」の「1号」と「2号」を創設
今回の法改正の趣旨は、「人手不足のために外国人労働者受入を拡大する」ということにあります。そのために、外国人が日本に滞在して労働するための条件である「在留資格」について新たな制度が創設されました。

(1)特定技能1号
「相当程度の知識または経験を要する技能を持つ人」に与えられ、最長5年の技能実習を修了するか、技能と日本語能力の試験に合格すれば得られるとされます。在留期間は通算5年で家族帯同は認められていません。業種としては、農業や介護など14業種を想定しており、想定される受入人数は5年間で最大で約34万人とされています。

(2)特定技能2号
「特定技能1号の資格を持つ者が、さらに専用の試験に合格し、熟練した技能を持つ人」に与えられます。1~3年周期での資格更新も可能で、更新時の審査を通過すれば更新回数に制限はなく、実質在留期間がないと言えるものです。家族の帯同も認められており、特定技能2号での滞在期間は永住権取得の要件の一つである「5年の就労期間」に該当するとされています。

2.改正入管法で指摘されている問題点
今回の法改正については、多方面からいろいろと指摘されていますが、特に大きい点は、特定技能2号の創設にあります。この創設で、従来、大学教授、専門士業や経営者など高度に専門的な職業にのみ限定してきた「就労目的の外国人在留資格」が、単純労働分野にも対象が広がり、特定技能2号の資格取得で在留期限がなくなってしまうというところにあります。日本にいる外国人が永住資格を取得する条件に「5年の在留」がありますが、特定技能2号の資格を取得すればこの条件をクリアすることになるのです。

在留期限がないということは、永住権の取得も可能であるということで、移民目的での来日も増えるのではというところが議論や不安となっているのです。実際にアメリカ、ヨーロッパを中心に移民が色々と問題となっています。このため、日本でも同様の問題が起きる可能性は十分にあるのではと懸念されており、そのことへの対応などが明確されずに、改正入管法が成立したことが心配されるところです。

また、外国人労働者と日本人とに仕事の競合が起きたり、外国人労働者が大都市圏などの賃金の高い所だけに集中してしまうなどという問題や、健康保険の被保険者資格を取得できることで外国人の家族が医療目的で来日し、医療費さらには社会保障全体が膨らむという可能性もあったりと、細かなところでの心配も数多く予想されます。

今回の改正では、諸外国で起こっている移民問題に加え、国民生活を支える社会保障制度への影響やその影響を払しょくするような制度整備が遅れていることが不安としてあるのです。今後、その対応の中身が決まっていくのですが、私たち国民としてはその中身がどのようになっていくのか、十分に注視する必要があると思います。

また、特定技能2号の資格を取得する外国人労働者は徐々に増え、資格を更新することでいつまでも日本に滞在することができ、家族帯同もできることから、自国に帰えらずに日本に定住する人が多くなることは当然に予想されます。
 
現在、世界で最も少子高齢化社会が進む日本は、雇用や社会保障制度を支える労働者人口が減少し、社会保障に関する支出は増え続けて行く一方です。私自身がたずさわる農業や福祉の現場でも全く人手が足りていない現状もあります。そのため、ある程度の外国人労働者の受け入れは必要という認識がありますし、訪問先の農家や社会福祉施設でも外国人を実習生として受け入れています。

このように現実問題として、現在の日本では外国人労働者に頼るということは必要ですが、日本に住む外国人が増え続けるということは、今後の日本の国のあり方や私たち国民生活にも影響を与えることです。

外国人労働者を受け入れることは決まりましたので、私たち国民としては受け入れ後に私たち日本人と外国人が労働者として、さらには社会生活者として共存していけるような社会制度が整えられていくのか注視しし、国民としてしっかりと考え、対応してていくことがとても大切になると考えます。

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